ワークフローコマンドについて
アクションは、 環境変数を設定する、他のアクションに利用される値を出力する、デバッグメッセージを出力ログに追加するなどのタスクを行うため、ランナーマシンとやりとりできます。
ほとんどのワークフローコマンドは特定の形式で echo
コマンドを使用しますが、他のワークフローコマンドはファイルへの書き込みによって呼び出されます。 詳しい情報については、「環境ファイル」を参照してください。
echo "::workflow-command parameter1={data},parameter2={data}::{command value}"
ノート: ワークフローコマンドおよびパラメータ名では、大文字と小文字は区別されません。
警告: コマンドプロンプトを使っているなら、ワークフローコマンドを使う際にダブルクォート文字("
)は省いてください。
ワークフローコマンドを使ったツールキット関数へのアクセス
actions/toolkitには、ワークフローコマンドとして実行できる多くの関数があります。 ::
構文を使って、YAMLファイル内でワークフローコマンドを実行してください。それらのコマンドはstdout
を通じてランナーに送信されます。 たとえば、コードを使用して出力を設定する代わりに、以下のようにします。
core.setOutput('SELECTED_COLOR', 'green');
ワークフローで set-output
コマンドを使用して、同じ値を設定できます。
- name: Set selected color
run: echo '::set-output name=SELECTED_COLOR::green'
id: random-color-generator
- name: Get color
run: echo "The selected color is ${{ steps.random-color-generator.outputs.SELECTED_COLOR }}"
以下の表は、ワークフロー内で使えるツールキット関数を示しています。
ツールキット関数 | 等価なワークフローのコマンド |
---|---|
core.addPath | |
環境ファイル GITHUB_PATH を使用してアクセス可能 | |
core.debug | debug |
core.error | error |
core.endGroup | endgroup |
core.exportVariable | |
環境ファイル GITHUB_ENV を使用してアクセス可能 | |
core.getInput | 環境変数のINPUT_{NAME} を使ってアクセス可能 |
core.getState | 環境変数のSTATE_{NAME} を使ってアクセス可能 |
core.isDebug | 環境変数のRUNNER_DEBUG を使ってアクセス可能 |
core.saveState | save-state |
core.setFailed | ::error 及びexit 1 のショートカットとして使われる |
core.setOutput | set-output |
core.setSecret | add-mask |
core.startGroup | group |
core.warning | warning file |
出力パラメータの設定
::set-output name={name}::{value}
アクションの出力パラメータを設定します。
あるいは、出力パラメータをアクションのメタデータファイル中で宣言することもできます。 詳しい情報については、「GitHub Actions のメタデータ構文」を参照してください。
サンプル
echo "::set-output name=action_fruit::strawberry"
デバッグメッセージの設定
::debug::{message}
デバッグメッセージをログに出力します。 ログでこのコマンドにより設定されたデバッグメッセージを表示するには、ACTIONS_STEP_DEBUG
という名前のシークレットを作成し、値を true
に設定する必要があります。 詳しい情報については、「デバッグログの有効化」を参照してください。
サンプル
echo "::debug::Set the Octocat variable"
警告メッセージの設定
::warning file={name},line={line},col={col}::{message}
警告メッセージを作成し、ログにそのメッセージを出力します。 警告が発生する場所を、ファイル名 (file
)、行番号 (line
)、および列 (col
) 番号で指定することもできます。
サンプル
echo "::warning file=app.js,line=1,col=5::Missing semicolon"
エラーメッセージの設定
::error file={name},line={line},col={col}::{message}
エラーメッセージを作成し、ログにそのメッセージを出力します。 警告が発生する場所を、ファイル名 (file
)、行番号 (line
)、および列 (col
) 番号で指定することもできます。
サンプル
echo "::error file=app.js,line=10,col=15::Something went wrong"
ログの行のグループ化
::group::{title}
::endgroup::
展開可能なグループをログ中に作成します。 グループを作成するには、group
コマンドを使ってtitle
を指定してください。 group
とendgroup
コマンド間でログに出力したすべての内容は、ログ中の展開可能なエントリ内にネストされます。
サンプル
echo "::group::My title"
echo "Inside group"
echo "::endgroup::"
ログ中での値のマスク
::add-mask::{value}
値をマスクすることにより、文字列または値がログに出力されることを防ぎます。 空白で分離された、マスクされた各語は "*
" という文字で置き換えられます。 マスクの value
には、環境変数または文字列を持ちいることができます。
文字列をマスクするサンプル
ログに "Mona The Octocat"
を出力すると、"***"
が表示されます。
echo "::add-mask::Mona The Octocat"
環境変数をマスクするサンプル
変数 MY_NAME
または値 "Mona The Octocat"
をログに出力すると。"Mona The Octocat"
の代わりに "***"
が表示されます。
MY_NAME="Mona The Octocat"
echo "::add-mask::$MY_NAME"
ワークフローコマンドの停止と開始
::stop-commands::{endtoken}
ワークフローコマンドの処理を停止します。 この特殊コマンドを使うと、意図せずワークフローコマンドを実行することなくいかなるログも取れます。 たとえば、コメントがあるスクリプト全体を出力するためにログ取得を停止できます。
ワークフローコマンドの停止の例
echo "::stop-commands::pause-logging"
ワークフローコマンドを開始するには、ワークフローコマンドを停止するのに使ったトークンを渡します。
::{endtoken}::
ワークフローコマンドの開始の例
echo "::pause-logging::"
pre及びpostアクションへの値の送信
save-state
コマンドを使って、ワークフローのpre:
あるいはpost:
アクションと共有するための環境変数を作成できます。 たとえば、pre:
アクションでファイルを作成し、そのファイルの場所をmain:
アクションに渡し、post:
アクションを使ってそのファイルを削除できます。 あるいは、ファイルをmain:
アクションで作成し、そのファイルの場所をpost:
アクションに渡し、post:
アクションを使ってそのファイルを削除することもできます。
複数のpre:
あるいはpost:
アクションがある場合、保存された値にアクセスできるのはsave-state
が使われたアクションの中でのみです。 post:
アクションに関する詳しい情報については「GitHub Actionsのためのメタデータ構文」を参照してください。
save-state
コマンドはアクション内でしか実行できず、YAMLファイルでは利用できません。 保存された値は、STATE_
プレフィックス付きで環境変数として保存されます。
以下の例はJavaScriptを使ってsave-state
コマンドを実行します。 結果の環境変数はSTATE_processID
という名前になり、12345
という値を持ちます。
console.log('::save-state name=processID::12345')
そして、STATE_processID
変数はmain
アクションの下で実行されるクリーンアップスクリプトからのみ利用できます。 以下の例はmain
を実行し、JavaScriptを使って環境変数STATE_processID
に割り当てられた値を表示します。
console.log("The running PID from the main action is: " + process.env.STATE_processID);
環境ファイル
ワークフローの実行中に、ランナーは特定のアクションを実行する際に使用できる一時ファイルを生成します。 これらのファイルへのパスは、環境変数を介して公開されます。 コマンドを適切に処理するには、これらのファイルに書き込むときに UTF-8 エンコーディングを使用する必要があります。 複数のコマンドを、改行で区切って同じファイルに書き込むことができます。
警告: Powershell はデフォルト設定で UTF-8 を使用しません。 正しいエンコーディングを使用してファイルを書き込むようにしてください。 たとえば、パスを設定するときに UTF-8 エンコーディングを設定する必要があります。
steps:
- run: echo "mypath" | Out-File -FilePath $env:GITHUB_PATH -Encoding utf8 -Append
環境変数の設定
echo "{name}={value}" >> $GITHUB_ENV
ジョブの中で次に実行される任意のアクションの環境変数を作成または更新します。 環境変数を作成または更新するアクションは、新しい値にアクセスできませんが、ジョブの中でそれ以降に続くすべてのアクションは、その新しい値にアクセスできます。 環境変数では、大文字と小文字が区別され、句読点を含めることができます。
サンプル
steps:
- name: Set the value
id: step_one
run: |
echo "action_state=yellow" >> $GITHUB_ENV
- name: Use the value
id: step_two
run: |
echo "${{ env.action_state }}" # This will output 'yellow'
複数行の文字列
複数行の文字列の場合、次の構文で区切り文字を使用できます。
{name}<<{delimiter}
{value}
{delimiter}
サンプル
この例では、区切り文字として EOF
を使用し、JSON_RESPONSE
環境変数を cURL レスポンスの値に設定します。
steps:
- name: Set the value
id: step_one
run: |
echo 'JSON_RESPONSE<<EOF' >> $GITHUB_ENV
curl https://httpbin.org/json >> $GITHUB_ENV
echo 'EOF' >> $GITHUB_ENV
システムパスの追加
echo "{path}" >> $GITHUB_PATH
システムのPATH
変数の先頭にディレクトリを追加し、現在のジョブ中の以降のすべてのアクションで利用できるようにします。現在実行中のアクションは、更新されたPATH変数にアクセスできません。 ジョブに現在定義されているパスを見るには、ステップもしくはアクション中でecho "$PATH"
を使うことができます。
サンプル
この例は、ユーザの$HOME/.local/bin
ディレクトリをPATH
に追加する方法を示しています。
echo "$HOME/.local/bin" >> $GITHUB_PATH